ovation 1863/素材

f0003829_15183140.jpg人は皆、なにがしかの「趣味」を持っているものと思われます。でも「趣味」ってなんなのでしょう?

「趣味」というものは不思議なもので、仕事に(一見)何も役に立たない、家族の団らんにもほとんど役に立たない(どころかもめ事の原因になったりもする)、それでいてやっている本人はかなり真剣である(お金もかかったりする)、という厄介者でもあります。

なかには「仕事が趣味だ」という酔狂な方もいらっしゃると思いますが、仕事で張りつめたテンションをゆるめてリセットしてくれる行いは「趣味」と言えるほどのものでなくても、なにかしらあるのではないかと思います。

何を隠そう、松野の趣味(のひとつ)は「ギター」であります。
中学生時代のフォークギターから始まって、エレキギターに進み、高校時代は友人とバンドを組んで学園祭やライブハウスなどで演奏したりしていました。現在マリンビストとして活躍している小森邦彦君がドラム担当。今思い返しても超絶にうまかったです(小森君が)。
大学に入り建築をはじめると、それこそ「建築こそ趣味だ」的な状態になり(そうは言いながら他の活動もしていましたが)ギターからは疎遠になっていたのでした。




ギター熱が再燃し始めたのは【S/N】という建築を設計していた頃。クライアントさんが僕よりも本気な、かなり本格的なアマチュアミュージシャンで、基本鍵盤屋さんにも関わらずドラムセット所有、ギターも数本所有、設計の際の一番はじめのオーダーが「住める音楽スタジオ(+アトリエ)」だったのです。
音楽談義(+建築談義:床材をラワンベニヤでいいのか!?など)で盛り上がり、荻窪のライブハウスに深夜までお供し、結果、ギターのようなピアノのような(直接な比喩ではありません、念のため。)建築ができたのでした。
そのプロセスで、ovation1863という、いわゆる「エレガット」購入。Pat Methenyの話しで盛り上がった勢いでした。トップに使われているシダー(ヒマラヤ杉とも米杉とも言う)の柔らかい振動を、FRPの3次元曲面が反射して、長いサスティーン・独特な倍音構成を実現しています。
ovationギターのバックに使われているFRPは、もともとヘリコプターのボディ用として開発されたものなのですが、振動が大きすぎて本来の目的であるヘリコプターには使えないことが判明し、振動するならば楽器に使えないかということで開発されたという逸話があります。

これがまた、いい音がします。
「いい音」、それは、嫌な音がしないこと+独特な特徴があること。
嫌な音の成分をなくすために必要なのは、きちんと素材を選び、その素材に適切な方法で組み上げられていること。
独特な特徴を醸し出すためには、振動と素材の関係の本質を捉え、前例にとらわれることなく純粋に音のための構成を徹底すること。
そういうことをovation1863から、学びました。

これがまた、建築にも適用できるのです。
「いい建築」、それは使っていて嫌な部分がないこと+独特な特徴があること。
嫌な部分をなくすために必要なのは、きちんと素材を選び、その素材に適切な工法・納まり・ディテールでくみ上げること。
独特な特徴を実現するためには、使われる状態と素材との関係の本質を捉え、前例にとらわれることなく純粋に空間体験のための構成を徹底すること。

「趣味」とは、何か。
一見、仕事に役に立たないが、より深く考えていくと、少しだけ仕事と関係することもある、営みのこと。

長くなったので、続きは次回。

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by ben_matsuno | 2009-01-30 09:25 | 音楽と空間


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