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共に暮らすこと_その3_仕事場はごちゃごちゃと

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fooにはたくさんのひとたちが「暮らして」います。
暮らしの中で、皆さんがおそらく最も時間を割いているもの、それは「仕事」です。多くの人たちが「家」にいるよりも「仕事場」にいる時間の方が長いのではないでしょうか。目が覚めて起きている時間内に限ればなおさらのことです。
朝6時に目が覚めて、8時まで朝ご飯などで過ごし、会社に行きます。
通勤1時間、9時に始業で、夜まで。遅い人は20時や、23時、24時、25時まで事務所にいる人もいるでしょう。帰宅に1時間、寝る前にお風呂等で2時間。そうすると家で目覚めて過ごしている時間は一日のうち4時間です。一方で仕事場にいる時間は8時間から15時間。2倍から3倍の時間、仕事場で「暮らして」いることになりますね。

そのような現実を直視して、仕事場環境を、より潤いに富んだ場所にしようという動きも、よく見られます。居心地がよく、長時間過ごしてもストレスの少ない場所、よりクリエイティブに頭が冴える場所にすることは、仕事の効率を上げるだけではなく、質の面でも非常に重要ですね。

fooでも、設立当初からその辺りのことについては意識的で、毎日の昼食、ランチは、1階の厨房で交代で作って食べます。日替わりシェフの手作りランチです。(しかし僕はまだほんの数回しか作ったことがないです。申し訳ない。)

仕事場も、狭いなりの、工夫を凝らして使っています。
細長い通路の部分が事務所になっていて、片側にデスクを一列に並べています。デスクの素材は「シナ合板(正確にはシナランバー)」です。いわゆる少し綺麗な「ベニヤ」ですね。仕上げはほとんどしていないので、使っていくにつれて、はじめはピンクがかったベージュだった表面が、グレーにくすんできます。10年使い続けたところは、使った人たちの汗と涙で(嘘)、お寺の境内の床のように、艶が出てきます。

天井部分は、梁とブレース(筋交い)が露出していますので、その間も収納スペースです。10cmまでの薄いもの、ロール紙や地図、模型やファイルのストックなど。ありとあらゆるものがブレースと天井の間に、しまい込まれています。

奥の席の人は、一列に並んだデスクの背後を通って自分の席までたどり着きます。席の後ろを通れるかどうかは、設計段階(10数年まえ)に実際のサイズに段ボールを切ってモックアップを作り、確認しました。「大丈夫、なんとかイケル!!」

また、事務所を使っているのは、僕たち設計事務所の人間だけではありません。建築関係の編集事務所であるフリックスタジオ、フリーの編集者、映像制作関係の人、など。アルバイトも含めると総勢13人が、この場所で仕事をして「暮らして」います。
今日はたまたまめずらしいことに、フリックスタジオの方々が勢揃いしていましたので、記念撮影。普段は取材や打合せ等で出かけて方も多いので、こんなに勢揃いしているのは珍しいです。
いやはや、密度のある事務所ですね。それぞれの人によって、目の前の棚の整理の仕方が違うのが興味深いです。同じファイルの背表紙で統一している人、著書や資料が山積みになっている人、もうごちゃごちゃで何がなんだかわからなくなっているところもあります(でも本人はしっかりと把握している)。
見た目、スノッブで整理が行き届いたオフィスも悪くないですが、長い時間いて落ち着くのは、自分に関係のあるモノたちに囲まれている状態だと思います。雑然としたなかに、確かな構造がある。エサキダイオードの発明者でノーベル物理学賞を授賞した江崎玲於奈氏も言っていましたよ。「素晴らしい発明、発見が生まれる環境に必要なのは<組織された混沌=オクシモロニックな環境>だ」と。オクシモロンというのは「oxymoron」。ギリシャ語の「oxy:鋭い・賢い」と「moron:鈍い・愚かな」が合わさった言葉。相反する状態が共存している、という意味ですね。

ごちゃごちゃしているのだけれど、何がどこにあるかすぐわかる。雑然としているけれど、活き活きとしている。狭いけれど、表面積は沢山ある。などなど。

雑然礼賛。
活き活きと仕事をしましょう。

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その4に続く>
by ben_matsuno | 2012-10-30 19:26 | シェア居住のすすめ

共に暮らすこと_その2

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僕たちが暮らしているこの場所は、すこし変わった敷地のかたちをしています。
街に面しているのが2メートルの幅しかないのです。これは建築を問題なく建てるために、必要最小限の幅です。この敷地を見つけたとき、「これは建築家としてこの細長い敷地を活かした、ここだけにしかないモノを設計したい!!」、そう強く思いました。

設計途中、両隣、奥の敷地含めて、周辺にお住まいの方々に日参して、僕たちが考えている使い方、つまり、僕たちが住む家であり、建築設計事務所であり、地域に開かれた場所にしたい、ということを幾度となく、説明にあがりました。
はじめは、皆さんこんな細い部分に建築が建つなんて思っても見なかったようで、建築基準法にのっとって合法的に建てられるものか、はたまた、技術的に物理的に工事ができるのかどうか、とても懐疑的なご様子でした。
僕らも、隣の窓を塞がないように建築を小さくしたり、圧迫感をなくすために曇り硝子の外壁にしたり、という設計上の工夫をして、できるかぎり両隣の暮らしに支障のないよう、配慮をしました。
そのようなやりとりの結果、最終的に隣地の方々が言ってくださったのは「この地域は江戸時代の昔から、人々が肩寄せ合って暮らしてきた場所だから、君たちのような若い(そのころはまだ30代になったばかりでした)人たちが入ってきて、仲間になってくれることは嬉しい。お互いに尊重しあって暮らしましょう。」というひと言でした。このひと言をいただいたときのことを、昨日のことのように思い出します。嬉しかったな。
そんな経緯もあり、おかげさまで、2メートル幅という極細長い敷地部分に建築を建てることができたのでした。

しかし、実際に使い始めてから、意外なところに盲点がありました。郵便屋さんや宅急便の配達の人たちが見つけられないのです。事務所の電話がなると、だいたいが宅急便の配達のお兄ちゃんからで(そのころは事務所は建てたものの、仕事はほとんどなかったのです)「お宅の近くにいるはずなんですが、建物が見当たらないのですが。。。」という電話。僕たちは隣のマンションの名前や色や、通りの雰囲気を伝えるのですが、それでも見つけられない時は表の通りにでて、こちらです!、と案内することが幾度となく、繰り返されました。

使い始めて10年後に、ようやく看板を作ることになりました。上の写真がその看板です。
厚さ6mmの厚手の鉄板に、ステンレスで「foo」の切り文字。竣工当初からシェアしてくれている
編集事務所とうちの設計事務所は、ステンレスにエッチングの小さなサインをつくりました。
厚手の鉄板は、黒皮という、工場から出たままの姿にしました。今はまだ、黒い塗装に見えますが、これから先、年月が経つにつれて錆が進行して、風合いが出てくるはずです。

そうそう、「foo」という名前は、シェアしてくれているメンバー全員で考えたのです。
「ストレスフルな都市空間のなかで、ふぅ〜〜っと息が抜けるような場所にしたいね」
だから「ふぅ〜〜=foo」なのです。
お越しの際には、fooの「O」の真ん中を押してください。穴があいていて、インターフォンのボタンになっています。かまれたりしないから大丈夫!

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その3へ続く>
by ben_matsuno | 2012-10-12 04:06 | シェア居住のすすめ

共に暮らすこと_その1

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ひとつの家を、複数の家族、友人知人と、シェアして暮らす「シェアハウス」が、そこここでみられるようになってきました。

僕たちの事務所兼住宅は、1999年頃、設計を始め、2001年の12月に使い始めました。

この場所は、僕たち家族だけではなく、設計事務所の拠点として使う、つまり事務所兼自宅であり、さらには、僕たちの事務所だけではなく、建築関係の編集事務所「フリックスタジオ」、他、何人かの個人の友人たちも使う場所として設計しました。家と事務所がシェアし、事務所もシェアオフィスである、という、入れ子状、ダブルシェアというのか。雑多な人たちが入れ替わり立ち替わり、この場所にいる状態。そのようにしていまも、使い続けています。

はじめは、金銭的余裕もなかったので、断熱は最小限、倉庫のようなつくりの中で、暮らし始めました。年が明けた1月末には、初めての子供も生まれ、その子供も、もう10歳になりました。
振り返ってみるとこの11年、室内でありながら、野原でキャンプをしているような、ある意味過酷な(笑)、ある意味ワクワクするような、冒険のはじまりでした。

そういった、僕たちが経験してきたリアルな実態を振り返りながら、いま「共に暮らすこと」を考えてみたいと思いました。

場所は東麻布2丁目。
麻布十番や六本木にも近い都心であり、「麻布」と名前がつくものの、地味な、中小規模の住宅が立ち並び、地域で一番近い小学校は廃校になり、商店街は若干寂れつつ根強くお祭りなどを続けている、都心のエアポケットのような街です。
首都高速の影が落ちる表通りから一本、北側に入った通りにマンションと住宅に挟まれて、ユーカリとワイヤープランツが絡み合ったこんもりとした緑があります。

そこが、僕たちが共に暮らしている場所です。

その2に続く>
by ben_matsuno | 2012-10-05 13:43 | シェア居住のすすめ


Natural LIFE, comfortable shelter.


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