ザ・AZABU/中学生へ向けて

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「麻布地域の人々が取材・編集する地域情報紙」vol.19(2012年3月26日発行版)の「KIDS' ハローワーク」で、松野が受けた取材記事が掲載された。

このコーナーは、子供たちが世の中の仕事をしている人たちに直接取材をして、その仕事内容を聞く企画です。今回は、港区高陵中学校の一年生、新舎洸城君と鈴木滝也君が取材にきてくれた。聞き手は中学生だったけれど、いま僕が大学や専門学校で教えている内容とほぼ同じ内容を、できるだけ噛み砕いて伝えたつもり。なぜなら、中学生になっていれば(もしくは小学校高学年くらいになれば)大人とほぼ同じ理解力がついているはずだから。

取材を受けていて、自分がこの子たちのころはどうだっただろう?と想像しながら受け答えしていた。僕が中学一年生の頃は世の中の仕事なんてほとんど意識していなくて、ただただ目の前の日々のことに没頭していたことを、昨日のことのように思い出しながら。図工で先生に褒められたことが嬉しかったりとか、クラブ活動で日が暮れるまでサッカーボールを追いかけたりとか、授業ノートの端にひたすらいたずら書きを書き続けたりとか。

いまもまた、模型を作ったり、デザインをしてクライアントに褒められたり、日が暮れるまで現場で埃まみれになったり、手帳にスケッチを書き続けたり。それは、実は中学生時代にやっていたこととまったく同じことをしている。もちろん、ただ無邪気にいたずら書きをしていては仕事にならないので、手を動かしている動き自体はほぼ同じだけれど、その間に考えていることは飛躍的に多いけど。スケッチをする、図面を書く、模型を作る、ということは、その表面上の行為の裏側が大事で、「考える」ためにスケッチや図面を書き、模型を作る。漫然と描かれたスケッチは、漫然とした「処理」にしかならない。「問題を洗い出して」それを揺すぶったり飛躍させたり他の要素と結びつけたりして(つまりそれが「考える」ということ)、クライアントが喜ぶ結果を導きだせて初めて「仕事」と呼べるのでしょう。

「好きなことや得意なことを仕事にできていいね」という風に、当時の同級生からも言われることが多いけれど、それはまあ結果論であって、その都度の岐路で僕を導いてきたのは、外から手を差し伸べてくれる人たちだったのだと思う。塩ビで作った多面体立体を褒めてくれた美術の高木先生だったり、サッカーを指導してくださった板村先生だったり、厭世的な質問にも応えてくれた社会の成田先生だったり。そういえば高校の美術の寺田先生もそこそこ褒めてくれたなあ。

天職とか、自分探しとか、適職とかを模索しようとしている学生たちも多いと思うけれど、それは外から与えられるものなので、自分から探しにいくものではないと思う。そのときそのとき、一瞬一瞬を精一杯生きて、与えられた課題に対して、与えられた枠組み以上のもので応えていくこと。それを続けていくこと。その先に、結果がついてくる(こともある)。

自分が直接教えている学生を見ていると、この「結果がついてくる(こともある)」という、()括りの中の不確定要素がどうにも耐えられない人をよく見かける。直接言葉では言わないまでも「何が正しい答えですか?」「どうやったらそこに最短距離でたどり着けますか?」「そのためのコツは何ですか?」という雰囲気をぷんぷん醸し出している学生が多い。

大切なのは「いま(この演習内に、この講義期間内に、もしくは卒業するまでに)」得られる結果ではなくて、卒業後に自分たちが直面する問題に対する「考え方のプロセスの原型」や「考え方のスタイル」、もしくや「型」や「スタイル」になる前の下地づくり、運動に例えて言うならば、筋肉の柔軟性や関節の可動領域を広げておくこと、なんじゃないかと思う。

スキルやテクニックは後からでもいくらでも身につけることはできるけれど、基礎体力や柔軟性や障害に当たった後の回復力は、なかなか後から身につけられるものではないように思う。

取材のお礼にいただいた「麻布手ぬぐい」、大切に使わせていただきます。


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by ben_matsuno | 2012-04-11 12:06 | published/掲載・放映


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