共に暮らすこと_その2

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僕たちが暮らしているこの場所は、すこし変わった敷地のかたちをしています。
街に面しているのが2メートルの幅しかないのです。これは建築を問題なく建てるために、必要最小限の幅です。この敷地を見つけたとき、「これは建築家としてこの細長い敷地を活かした、ここだけにしかないモノを設計したい!!」、そう強く思いました。

設計途中、両隣、奥の敷地含めて、周辺にお住まいの方々に日参して、僕たちが考えている使い方、つまり、僕たちが住む家であり、建築設計事務所であり、地域に開かれた場所にしたい、ということを幾度となく、説明にあがりました。
はじめは、皆さんこんな細い部分に建築が建つなんて思っても見なかったようで、建築基準法にのっとって合法的に建てられるものか、はたまた、技術的に物理的に工事ができるのかどうか、とても懐疑的なご様子でした。
僕らも、隣の窓を塞がないように建築を小さくしたり、圧迫感をなくすために曇り硝子の外壁にしたり、という設計上の工夫をして、できるかぎり両隣の暮らしに支障のないよう、配慮をしました。
そのようなやりとりの結果、最終的に隣地の方々が言ってくださったのは「この地域は江戸時代の昔から、人々が肩寄せ合って暮らしてきた場所だから、君たちのような若い(そのころはまだ30代になったばかりでした)人たちが入ってきて、仲間になってくれることは嬉しい。お互いに尊重しあって暮らしましょう。」というひと言でした。このひと言をいただいたときのことを、昨日のことのように思い出します。嬉しかったな。
そんな経緯もあり、おかげさまで、2メートル幅という極細長い敷地部分に建築を建てることができたのでした。

しかし、実際に使い始めてから、意外なところに盲点がありました。郵便屋さんや宅急便の配達の人たちが見つけられないのです。事務所の電話がなると、だいたいが宅急便の配達のお兄ちゃんからで(そのころは事務所は建てたものの、仕事はほとんどなかったのです)「お宅の近くにいるはずなんですが、建物が見当たらないのですが。。。」という電話。僕たちは隣のマンションの名前や色や、通りの雰囲気を伝えるのですが、それでも見つけられない時は表の通りにでて、こちらです!、と案内することが幾度となく、繰り返されました。

使い始めて10年後に、ようやく看板を作ることになりました。上の写真がその看板です。
厚さ6mmの厚手の鉄板に、ステンレスで「foo」の切り文字。竣工当初からシェアしてくれている
編集事務所とうちの設計事務所は、ステンレスにエッチングの小さなサインをつくりました。
厚手の鉄板は、黒皮という、工場から出たままの姿にしました。今はまだ、黒い塗装に見えますが、これから先、年月が経つにつれて錆が進行して、風合いが出てくるはずです。

そうそう、「foo」という名前は、シェアしてくれているメンバー全員で考えたのです。
「ストレスフルな都市空間のなかで、ふぅ〜〜っと息が抜けるような場所にしたいね」
だから「ふぅ〜〜=foo」なのです。
お越しの際には、fooの「O」の真ん中を押してください。穴があいていて、インターフォンのボタンになっています。かまれたりしないから大丈夫!

<その1へもどる
その3へ続く>
by ben_matsuno | 2012-10-12 04:06 | シェア居住のすすめ


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