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草食動物の目・駒沢敏器

先見日記というサイトに駒沢敏器さんがコラムを書いている。
今年の8月から月曜日の担当が駒沢さんになったようだ。
いままで気付かずにいた。

駒沢さんは以前、「foo」でトークをして頂いたことがある。
その前後からの知り合い。

著書に『地球を抱いて眠る』があり、大好きな本のひとつ。
ご本人に会うといたってシャイで、おとなしい草食動物のようなたたずまいなのだが
著書のほうは、人の心理的な動きを奥深くまで見通すような内容が多く、
いつもどきっとさせられる。
そういえば草食動物の目は、よく見ると冷徹で遠くまで見通す目をしている。

先見日記での先々週から先週にわたるコラム
マンションの広告について。
僕は、マンションの広告キャッチコピーを作っている人や
マンションそのものを作って売っている人たちも、少なからず知っている。
彼らのうち良質な人たちは、駒沢敏器さんが指摘していること、
つまり装飾的な空疎な言葉が広告上で濫立していることを
深く認識していると思う。

マンション広告は、言葉の空疎さを突き詰めるかのような、
エンドレスゲームになってしまっているんだ。
売る方も、(おそらく)買う方も、それを知っている。

別の製品のキャッチコピーだと、こんな風だ。
(さあ、これは何だかわかりますか?)
「史上最高速の」「しかも」「あなただけの」「数百万通りの組み合わせから」「パワフルな」「わずか」「さらなる革命」「最大で5倍のパフォーマンス」「必要なものはもうすべて」

形容詞と副詞には要注意だと、かつて池澤夏樹さんが書いていた。
こんな修飾語で飾り付けられた製品も、実際に使ってみれば、たいしたことはない。
上記の言葉を実感できる場面はほとんどない。
つまり、駒沢敏器さんの言い方に寄せると
言葉に身体性が伴っていない。

言葉が空疎になるのは、広告という仕組みが持つ根本的な特質なのではないか。

新聞やテレビメディアも然り。
「○○がある!」と大声で喧伝しておきながら、現実には、存在しなかった
なんていうことは、すでに、僕たちは経験済みなのである。

熱狂に煽られる肉食動物ではなく、
冷徹に遠くまで見通す、草食動物の目が求められている。

[ben]
by ben_matsuno | 2006-10-11 14:32 | 読書の時間


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